FMラジオとAMラジオの違いとは?仕組み・音質・用途をわかりやすく解説

街中にあるラジオ

ラジオ放送には大きく分けて「FMラジオ」と「AMラジオ」の2種類がありますが、それぞれの違いを正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。

本記事では、FMとAMの仕組みの違いから、音質・受信範囲・用途の違いまで、基本的な特徴をわかりやすく解説します。FMとAMを上手に使い分けることで、ラジオの魅力をより一層楽しめるようになるはずです。

目次

FMラジオとAMラジオの違いをざっくり説明

FMラジオとAMラジオは、どちらも音声情報を電波に乗せて届ける「ラジオ放送」の方式ですが、使用している電波の仕組みや特性に大きな違いがあります。FMは「Frequency Modulation(周波数変調)」、AMは「Amplitude Modulation(振幅変調)」と呼ばれる方式を用いており、それぞれに特徴があります。

一般的に、FMラジオは音質が良く、主に音楽番組などに向いています。一方で、AMラジオは広範囲に電波が届きやすいため、ニュースやトーク中心の番組に適しているとされています。この違いを理解することで、ラジオをより快適に楽しむことができます。

FMとAMの仕組みの違いとは?

FMラジオとAMラジオの最大の違いは、音声信号を電波に乗せる方式、すなわち「変調」の仕組みにあります。FMは「Frequency Modulation(周波数変調)」、AMは「Amplitude Modulation(振幅変調)」と呼ばれる技術を用いています。

FM方式では、音声に応じて電波の周波数を変化させることで情報を伝えます。周波数の変化は雑音の影響を受けにくく、結果として高音質の放送が可能になります。これが、FMラジオが音楽放送に適しているとされる理由の一つです。

一方、AM方式では、音声に応じて電波の振幅(大きさ)を変化させます。この方式は構造がシンプルで、送信設備のコストも比較的低く抑えられますが、周囲の電気的なノイズの影響を受けやすいため、FMに比べて音質は劣る傾向があります。

音質・受信範囲・ノイズの違い

FMラジオとAMラジオは、音声信号の伝送方式だけでなく、実際に聞こえる音質や電波の届き方、ノイズの発生しやすさにも明確な違いがあります。

まず音質については、FMラジオのほうが高音質です。FMは電波の周波数を変化させて音声を伝えるため、雑音の影響を受けにくく、クリアで滑らかな音を再現できます。そのため、音楽やステレオ放送に適しており、聴き心地の良さが特徴です。

一方、AMラジオは電波の振幅を変化させる仕組みのため、電気的なノイズの影響を受けやすく、音質はやや粗く感じられます。しかし、AM電波は地形や建物の影響を受けにくく、直進性が弱いために遠くまで届きやすいという利点があります。特に夜間は電離層の反射を利用して、さらに広範囲に放送が届くことがあります。

ノイズに関しては、FMは電波の周波数の変化で信号を受信するため、雷などの突発的な雑音に強い傾向があります。これに対し、AMは振幅の変化を拾っているため、家電製品や車などから出るノイズの影響を受けやすくなります。

FMとAMの向いている用途とは?

FMラジオとAMラジオは、それぞれの技術的な特徴に基づいて、適した用途や番組のジャンルに違いがあります。放送局もこの特性を踏まえて番組を編成しており、リスナーにとっても選び方の目安となります。

FMラジオは高音質でノイズが少ないことから、音楽番組に特に向いています。クリアなサウンドで音楽を楽しめるため、J-POP、洋楽、クラシック、ジャズなど、音質にこだわるジャンルに最適です。また、FMはステレオ放送に対応しているため、臨場感のあるサウンド体験が可能です。

一方、AMラジオは広いエリアをカバーできるという利点を活かし、主にトーク中心の番組やニュース、天気予報、交通情報、スポーツ中継などに使われています。多少のノイズがあっても内容の伝達に支障が少ないジャンルに適しており、災害時の情報伝達手段としても重要な役割を果たしています。

FMラジオ・AMラジオを聴く方法とは?

現在では、FMラジオやAMラジオを聴く方法は多様化しており、従来のラジオ受信機以外にもさまざまな手段が利用されています。生活スタイルや環境に応じて最適な方法を選ぶことで、より手軽にラジオを楽しむことができます。

まず基本となるのは、専用のラジオ受信機です。携帯型のポータブルラジオから据え置き型まで種類が豊富で、FM・AMの両方に対応している機種が一般的です。自宅や職場で手軽に利用でき、災害時の備えとしても重宝されます。

車載用のカーラジオも依然として広く利用されています。移動中でも安定した受信が可能で、特に通勤・通学時の情報収集や音楽鑑賞に便利です。ほとんどのカーステレオはFM・AM両方に対応しており、地域に合わせた放送が受信できます。

スマートフォンを利用する方法も普及しています。ラジオ放送をインターネット経由で配信する「radiko(ラジコ)」などのアプリを使えば、FM・AMの両方の番組を高音質で聴取できます。地域制限があるものの、有料会員登録により全国の放送を聴くことも可能です。

さらに、近年ではスマートスピーカーにも対応が進んでおり、「ラジオをかけて」と話しかけるだけで放送を再生できる機能が搭載されています。家庭内でのラジオ利用がより身近になっています。

FMとAM、今後の展望は?

ラジオ放送は長い歴史を持ちながらも、デジタル化やライフスタイルの変化に対応して進化を続けています。特に近年は、AMラジオの在り方に大きな変化が見られ、今後の放送形態にも影響を及ぼす動きが進んでいます。

注目されているのが、「AM局のFM転換(ワイドFM)」や「AM放送の停波」に関する動向です。建物の増加や都市化によりAM電波の受信環境が悪化していることに対応するため、AM局がFM周波数を使って同じ番組を放送する「ワイドFM」が各地で導入されています。これにより、音質の向上と受信の安定化が図られています。

また、総務省は2020年代後半を目標に、AM放送の段階的な廃止を進める方針を打ち出しており、すでに一部地域ではAM放送の終了に向けた実証実験や準備が始まっています。これは災害時の情報伝達手段としての信頼性を確保しつつ、放送インフラの効率化や経済性を考慮した動きといえます。

一方で、FMラジオは今後も音楽やエンタメの分野での需要が続くと予想され、放送とインターネットの融合が進んでいくことが見込まれます。radikoなどの配信プラットフォームを通じて、放送エリアの制限を超えた聴取が可能になっており、ラジオの利便性はさらに向上しています。

まとめ:FMとAMの違いを正しく理解して使い分けよう

FMラジオとAMラジオは、変調方式の違いにより、それぞれ音質や受信範囲、ノイズ耐性などに特徴があります。FMは高音質で音楽に適しており、AMは広範囲への伝達に優れていて情報放送に向いています。聴取方法も多様化しており、ラジオ受信機だけでなくスマートフォンアプリやスマートスピーカーなどでも手軽に楽しめる時代になっています。

さらに、放送のデジタル化やAM放送の終了に向けた動きが進んでおり、今後はFMやインターネット配信を中心とした新しいラジオの形が定着していくと見られます。FMとAMの違いを理解し、それぞれの特性を活かして使い分けることで、ラジオの魅力をより深く味わうことができるでしょう。

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