スーパーやコンビニで受け取るレシートの端がピンク色に染まっているのを見たことはありませんか？
多くの人が「何か特別なレシートなのか」「印刷ミスなのでは」と疑問に思いますが、実はこれはきちんとした理由がある現象です。
本記事では、レシートの端がピンク色になる仕組みと意味、さらに店舗側や消費者が気をつけるべきポイントについて、わかりやすく解説します。
レシートの端がピンク色になるのはなぜ？
レシートの端がピンク色になる理由は、感熱紙（かんねつし）ロールの残量が少なくなったことを知らせるサインです。現在のレジで使われているレシート用紙の多くは「感熱紙」と呼ばれる特殊な紙で、熱によって発色し、インクを使用せずに文字や金額を印字できる仕組みになっています。
この感熱紙は、ロール状に巻かれた状態でレジにセットされますが、残りが少なくなると、最後の数十センチほどにピンク色の帯（警告マーク）が印刷されている部分が現れるようになっています。この帯が見えることで、店員は「そろそろロール紙を交換する時期だ」と判断できるわけです。ピンク色のレシートは「もうすぐ紙がなくなる」という警告サインであり、印字ミスや異常ではありません。
ピンク色が出る仕組み｜感熱紙の構造を解説
レシートに使われる感熱紙は、発色層・保護層・基材層など複数の層で構成された特殊な紙です。通常の白い部分は、熱が加えられると化学反応によって黒く発色するよう設計されています。このため、レジのプリンターはインクを使わず、印字ヘッドからの熱で直接文字を浮かび上がらせることができます。
では、なぜ端がピンクになるのでしょうか。感熱紙の裏面には、「警告帯」または「警告マーク」と呼ばれる着色部分があらかじめ印刷されています。この帯がロールの終端近くに位置しており、紙が残り少なくなると表面から透けてピンク色として見える仕組みです。
ピンクが採用されている理由は、印字された黒文字とのコントラストが強く、すぐに気づけるためです。黄色や青など他の色よりも視認性が高く、業務中の店員でも瞬時に「交換のサイン」として認識しやすいという利点があります。
ピンク色のレシートを見つけたらどうすべき？
レシートの端がピンク色になっていても、消費者側で特別な対応をする必要はありません。これはあくまで店舗側への「用紙交換の目安」を知らせるための仕組みであり、印字内容や会計処理に問題はありません。
一方で、店舗スタッフにとっては重要なサインです。ピンク色の帯が現れた段階で、近いうちにロール紙を交換する準備を行う必要があります。そのまま使用を続けると、会計中に紙が切れて印字が途中で途切れるおそれがあり、取引記録やレシートの再発行手続きが煩雑になることもあります。
また、ピンク色が見え始めたレシートは、紙の末端がわずかに巻き癖を帯びていることが多く、印字ヘッドへの圧力が不均一になるため、文字の濃淡が出る場合もあります。こうした状態を避けるためにも、ピンクの帯を確認したら早めの交換が望ましいといえます。
感熱紙の寿命と保管方法のポイント
レシートの印字は、時間の経過や環境条件によって徐々に薄くなるという特徴があります。これは、感熱紙の表面に塗られた発色層が熱や光、湿気などに反応して変質するためです。そのため、ピンク色の警告帯が出たレシートでなくても、長期保存には注意が必要です。
特に以下のような環境は劣化を早めます。
- 高温多湿の場所（車内、キッチン付近など）
- 直射日光や蛍光灯の光が当たる場所
- プラスチックやビニール製品と密着した状態
これらを避けるには、暗く乾燥した場所で保管することが基本です。さらに、長期間レシートを残したい場合は、コピーを取る・スキャンしてデータ化するなど、別の形式で記録を残しておくと安心です。
特に確定申告や保証書代わりに使うレシートは、印字が薄れて判読できなくなる前に早めの保存処理を行うことが推奨されます。
ピンク色の帯が出る前に交換する理由
店舗では、レシートの端にピンク色の帯が見えた時点でできるだけ早くロール紙を交換することが推奨されています。その理由は、単に紙がなくなる前に備えるというだけでなく、業務効率や機器の保護にも関係しているためです。
まず第一に、ピンク色が出てから放置すると、会計中に紙が途中で切れ、取引の中断や再印刷などのトラブルが発生する可能性があります。特に混雑時には業務が滞る原因となり、顧客にも迷惑がかかる恐れがあります。
また、ロール紙の終端部分は巻きぐせが強く、レジのプリンター内部で紙詰まりを起こしやすい構造になっています。紙が切れる直前まで使用すると、印字ヘッドやローラー部分に負担がかかり、機器の寿命を縮める原因にもなります。
さらに、ピンク色が出る前に交換することで、常に一定の印字品質を保てるという利点もあります。文字の濃淡やかすれを防ぎ、レシートの読みやすさを維持することは、店舗の信頼性にも関わる重要なポイントです。
まとめ
レシートの端がピンク色になるのは、感熱紙の残量が少なくなったことを知らせるサインです。このピンク色の帯は、ロール紙の裏面にあらかじめ印刷された「警告帯」が透けて見えることで現れます。消費者にとっては特に問題のない現象ですが、店舗側にとっては用紙交換のタイミングを判断する重要な目印となります。
また、感熱紙は熱や光に弱いため、レシートを長期間保管する際は、暗く乾燥した場所で保管することや、コピー・スキャンなどで記録を残すことが推奨されます。ピンクの帯は、日常の小さなサインでありながら、店舗運営の効率化やトラブル防止を支える意外に重要な仕組みといえるでしょう。